製薬業界は、大きく分けて
①薬の候補となるシードを探索、発見し、治験、販売承認申請、製造・プロモーションを行う「製薬企業」
②医療機関に卸すために、各製薬メーカーから製薬を買い付ける「医薬品卸企業」
③最終的に患者に処方する病院・調剤薬局等の「医療機関」の3つに分類することができます。
製薬業界で用いられている価格は、「薬価」として保険収載されている価格を基準として
医薬品卸企業から医療機関に納入される時に使用される「納入価格」
製薬企業から医薬品卸企業に納入される時に使用される「仕切価格」と呼ばれています。
「納入価格」については、医療機関が医薬品卸企業を競わせている場合もあり、値下げ圧力がかかります。
また、同じ疾患であっても、選択薬として複数の薬が認められている場合も多く、選択薬間でも競争が生じています。
医療機関からの値下げ圧力がかかった結果として、「納入価格」が「仕切価格」を下回る場合も発生する場合も生じます。
その場合には、製薬企業から、「リベート(仕入割戻し)」や、納入目標を設定し、目標を達成できた場合に、販売奨励金として支払われる「アローワンス」が医薬品卸業者の利益補填のため支出されることがあります。
営業担当者の呼び方も
製薬企業の営業担当者は「MR」と呼ばれているのに対して
医薬品卸企業の営業担当者は「MS」と呼ばれています。
一般には、「MR」が高収入業種の代表としてとらえられており、直接「MR」が医師に薬の販売を行っているようなイメージを持たれる方も多くいます。
薬については、適正な処方がされるようにするため透明性の確保が重要となります。
「MR」は透明性の確保の観点から薬の価格「納入価格」の交渉はできないことになっており、価格交渉をできるのは、医薬品卸企業の営業担当者である「MS」となっています。
「MR」は、あくまで自社の薬の医療従事者に対する医療情報の提供・伝達や販売後の有効性・安全性を収集がミッションとなっています。
製薬企業が自社で「MR」を確保している場合には、寄附、交際費等についても、自主規制にのっとり公開している場合が多く、管理上の重要な論点となっています。