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【不正】不正の発生過程



不正に関するニュースをみていて、なぜ誰も気づかなかったんだろうと疑問が持つ方もいらっしゃるかもしれません。
ニュースになっている不正は、多くの場合、長年積み重なったものがどんどん大きくなって、何かのきっかけ(内部告発、税務調査、会計士の監査など)で発覚したものです。
ただ、発覚するときには、すでにかなり深刻な状況になっており、会社の存続さえも危ぶまれる状況になることもあります。

私は、つい不正のニュースをきくと
雪山の上から、小さなの雪のかたまりを落としたら、その小さなかたまりが山をくだっていくうちに、どんどんと大きくなっていくイメージを持ちます。
ふもとにつく頃には大きな雪のかたまりになっていて、手の付けられない状況になってしまっている。

多くの不正の場合、最初は本当に小さいきっかけから発生すると考えられます。

たとえば
・経営者が、投資家、銀行や取引先に、決算が固まるまえに楽観的な数字(売上や経常利益)を伝えてしまった。
→経理に当期の着地を聞いたら達成がどうやら難しそうだ。
→同業の他の社長に相談すると、なにやら良い話があるようだ。
・営業部門のノルマや予算が達成できなかった。
→プレッシャーが大きくて、このままだと経営会議で怒られる。
→もしかしたら長年のお付き合いしている顧客は無理をきいてくれるかもしれない、相談してみよう(お互い様だし)。
・後輩と飲みに行っておごってやりたいが、給料日前で預金残高が少ない。
→経理のチェックも甘いし、顧客からの預り金が手元にあって少しの間借りよう

ささいなごまかしをした場合にのちのち対応が大変になることはみなさまご経験があるかもしれません。
会社の不正も同じで、一度、不正に手を染めてしまった場合には、その期はいいのですが、会計上は「財務諸表のひずみ」として記録されるため、翌期以降の対応が難しくなります。

最近は希薄になってきているといわれていますが、企業内の集団主義(なるべく社内では穏便に、上の指示は忠実に、和を尊ぶ)的な思考は、
経済が右上がりの状況では、一致団結し好業績を達成する原動力になるのですが、ひとたび小さな不正の起きた場合、歯止めが利かなくなくなる原因ともなりえます。
社内の規律が高い半面、特定の話題について話がしずらい雰囲気がある場合には、注意が必要かもしれません。

個人的には、不正のきっかけをいかに早い時期に把握できるかが重要だと思います。
内部統制は、不正の歯止めとなる重要な仕組みです。
J-SOX(2008年施行)が施行されてしばらくたちますが、働く人の価値観の多様化、ビジネスのグローバル化を考えると内部統制の意義をあらためて見つめなおす時期にきているように思います。

報道される不正も、はじめは本当に小さなきっかけから発生しているのかもしれません。
病気と同じように、深刻になってしまう前に、早期発見や予防が重要だと思います。



内部監査支援専門

公認会計士(CPA)・公認内部監査人(CIA)・公認情報システム監査人(CISA)・公認不正検査士(CFE)・税理士

代表 小田陽一
代表 小田陽一


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