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①会社法における内部統制と金商法における内部統制


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会社法における内部統制と金商法(金融商品取引法)における内部統制の違いについて聞かれることがありましたのでまとめてみたいと思います。

 

公認会計士として、外部監査に従事している際には、正直なところ会社法のもとでの内部統制と金商法のもとでの内部統制の違いについて知識としては知っていても違いについてあまり気にする機会はありませんでした。

 

外部監査として監査法人(公認会計士)の監査を受けている会社は、大きく分けて①上場している会社と②会社法の大会社(資本金が5億円以上or負債の部の合計額が200億円以上)の2種類に分かれます。

上場している会社は、一般的には、会社法における大会社の要件を満たすことから上場会社に求められる、金商法の監査に加えて会社法監査を受けることになります。

(監査法人、公認会計士の立場から)

金商法の監査では、内部統制に関して、経営者が財務報告に係る内部統制の評価を記載した内部統制報告書について、監査人(監査法人)の監査証明を得ることが必要となります。

一方で、会社法のもとでは、監査人(監査法人)が監査を行う対象は、連結計算書類及び計算書類並びにこれらの附属明細書に限定される(法436条2項、441条2項、4項)ため、内部統制の有効性について監査することは求められていません。

(異なる考え方がある)

内部統制とは、①業務の有効性及び効率性、②財務報告の信頼性、③事業活動に関わる法令等の遵守ならびに④資産の保全という四つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいいます。

 

会社法においては、会社法362条4項6号、5項にて内部統制についての体制の整備を求めています。またそれを受ける形で、会社法施行規則100条1項及び3項にて体制の具体的な内容について規定しています。会社法及び会社施行規則にそうかたちで体制を整備することで、結果的には、内部統制の目的である4つの目的が達成されると考えられます。

一方、財務報告における内部統制(金商法)は、財務報告の信頼性の確保を目的とするものに限られるため、会社法の想定する内部統制の目的と全く異なるものと考える方もいるようです。

 

ただよく考えていただきたいのですが、財務報告の信頼性だけが担保され、他の内部統制の目的(①業務の有効性及び効率性、③事業活動に関わる法令等の遵守ならびに④資産の保全)が担保されない状況は、正直なところ考えにくく、4つの目的はそれぞれ密接に関連していて一体として機能していると考えるべきだと思われます。

 

 

したがって、金商法における内部統制と会社法における内部統制は、基本的には、同じ内部統制の目的のもと、体制を整備するために準拠すべき基準や監査役の関与の仕方、監査法人の監査意見が出るか否かに差が出ているにかすぎないと思います。


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代表 小田陽一
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